なりわい事例集

vol.5 株式会社平和タクシー・株式会社安全タクシー

1953年に「㈱平和タクシー」、1979年にはグループ会社として「㈱安全タクシー」を設立。現在は創業者の孫となる姉妹がそれぞれの専務取締役に就任し、2人で協力し合いながら高齢化が進むタクシー業界を時代にフィットしたスタイルに進化させようと取り組んでいます。
https://www.hxataxi.com
所在地:岩手県北上市本通り二丁目3番30号

時代に合わせて進化するタクシー会社

— 柔軟な働き方の可能性—

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安全タクシー

          おばら かおるこ

専務取締役 小原 薫子さん(29)

勤続5年/経営・ドライバー

平和タクシー

          おばら しおり

専務取締役 小原 史織さん(34)

勤続5年/経営・事務・

ドライバー/お子さん1人(1歳)

安全タクシー・平和タクシーで働こうと思った理由は何ですか。

薫子さん)祖父と父がこの会社を経営していたので、「タクシードライバー」という仕事は子どもの頃から身近な存在でした。本格的に働こうと思ったのはコロナ禍のときです。オーストラリアでダンスの講師をしていたのですが、新型コロナウイルスの影響でダンススクールも閉鎖され、帰国するしかありませんでした。そのあと、家族で「今後どうするのか?」を話し合ったとき、姉に「一緒にやろう」と誘われたのがきっかけです。

史織さん)そのとき私は新型コロナウイルスの影響で夫の東京転勤の話がなくなったときでした。私も夫と一緒に東京に行く予定ですでに仕事も辞めていたので、「今後どうするのか?」を家族で話し合ったとき、父から「2人で会社を継がないか」と言われて決断しました。

実際に働いてみた感想は?

薫子さん)タクシードライバーはお客さまに背を向けて接客するという特殊な仕事なので、そこが難しいところであり面白いところでもあります。車内でのコミュニケ―ションを通してお客さまが目的地まで向かう時間を心地よく過ごしてもらえたと思えると私もうれしくなります。

史織さん)ドライバーさんが足りないときはドライバーも担当しますが、私は事務や電話応対の仕事が中心です。お客さまから言われた場所にすぐ到着できるように考えて、お客さまを待たせずにタクシーを手配できたときは良かったなと思います。

お2人は経営面の仕事もされていますが、そちらはいかがですか?

薫子さん)面白いですね。地方のタクシー業界というと昔のまま変わっていないイメージがありました。でも、時代に合わせて新しい考え方やシステムを導入していくことで利便性も高まってお客さまも利用しやすくなるし、会社としても成長していけると思っています。私たちが会社に入った意味もそこにあると思っていて、姉や義兄とも相談しながら新しいことにもどんどん取り組んでいこうと思っています。

具体的にどんな取り組みをされていますか?

薫子さん)2024年春からスマートフォンを使ったアプリ配車サービスの運用をはじめました。自社提供では県内初の取り組みです。電話しなくても、スマホ画面のマップ上で乗車と降車地点を決めて依頼すると、タクシーの到着予定時間もわかりますし、今タクシーがどの辺を走っているかもわかる便利なサービスです。

利用状況はいかがですか?

薫子さん)最近は「電話が苦手」という方も多いので、「アプリの方が便利」と言っていただける方が多いですね。それから「東北」という土地柄にもアプリは合っていて、雪が降ると外でずっとタクシーが来るのを待っているのは大変ですよね。その点アプリだと「あと何分で到着する」「迎えのタクシーは今ここを走っている」というのがスマホで、わかるのでそれを見ながら暖かい家の中でゆっくり準備もできます。

史織さん)引っ越してきた方だと電話では場所の説明が難しい場合があります。アプリだと自分でマップ上に乗車位置のピンを立てていただければタクシーを呼べるので好評です。

アプリを活用した新しい取り組みを導入されて働くみなさんの反応は?

薫子さん)従来の電話のやり方に慣れている世代には、「今のやり方で仕事が回っているのに、わざわざ変える必要はないんじゃないか」という意見も最初はありました。しかし、アプリのメリットも丁寧に伝えたり、アプリの導入によってタクシーを利用するお客さまが少しずつ増えたりしていくなかで理解もひろがって、今では前向きに取り組んでもらえるようになってきていると思います。

SNSの活用もお2人がはじめたことだそうですが、お客さまの反応は?

史織さん)SNSでは会社の新しい取り組みやイベントに参加したときの様子などを投稿しています。なかでもドライバーさんの写真やプロフィールを紹介する「乗務員紹介」はお客さまとの会話のきっかけづくりにもなっていて、お客さまからも「親しみやすい」と好評です。そのお陰で今ではドライバーさん自身がSNS用の写真を撮影して投稿に協力してくれるようにもなっています。

タクシー業界は高齢化が進んでいると言われていますが、その対応は?

薫子さん)私たちの会社でも高齢化はもちろん進んでいますが、別視点で見ると定年後のセカンドキャリアとして「タクシードライバー」という仕事が定着してきているという部分もあると思います。

史織さん)実際にトラックの運転をされていた方が、「運転が好きだから」ということで定年後に「タクシードライバー」を選ばれる方もいらっしゃいます。

働き方で「タクシードライバー」のメリットは?

薫子さん)働き方については、一般のタクシー会社と同じように日勤、夜勤、交番(会社が決めた交番に従う働き方)がありますが、私たちの会社ではパートタイムの働き方にも力を入れています。例えば個人事業主の方が自分のやりたい仕事をメインにしながら、副業として自分が無理なく働ける時間にタクシードライバーとして働いたり、子育て世代や若い世代の方など短時間だけ、スキマ時間を利用して働きたい方も活躍できるように取り組んでいます。実際に30代の個人事業主の方が副業でタクシードライバーとして働かれていますし、働き方がより多様になっていく今後、利用される方が増えていくのではないかと思っています。

史織さんは子育てしながら働かれていますが、仕事と子育ての両立は大変ではありませんか?

史織さん)子どもを産む前は、仕事をしている方が大変なんじゃないかと思っていたのですが、実際に自分が子どもを産んで子育てしながら働いてみると、その大変さがわかるようになりました。私の場合はお互いの両親だったり、hoKko(北上市が運営する保健・子育て支援複合施設)の一時保育室(お子さんの一時預かりをする施設)だったり、いろいろな方の手を借りながら働けているので、それは本当に有難いことだと思っています。

それに今ドライバーとして活躍してくださっている30代の女性はお子さんが小さいときは会社に連れてきて応接室で遊ばせながら事務の仕事をされていたそうです。子育てしながら働くことへの理解も会社として昔からあるので、私も子どもを連れてきて事務の仕事をしたりもしています。

そんなお姉さんの働きぶりは、妹さんから見ていかがですか?

薫子さん)仕事と子育ての両立は私が想像する何倍も大変なことだと思うのですが、姉は大変なときも周りに頼るのが上手なので(笑)そうしながら仕事も子育ても上手にこなしていると思います。それに会社としても今後はさらに女性が活躍できる環境を整えていくのは大事だと思っているので、子育て中の方もサポートできる体制づくりにももっと取り組んでいきたいと思っています。

そんな妹さんの働きぶりは、お姉さんから見ていかがですか?

史織さん)妹は英語と韓国語が話せるので、SNSでも観光などの話題には英語と韓国語を併記したりしています。そのお陰もあってか、この間も英語のメールで長文の問い合わせがあったのですが、それにもすぐ対応できて、実際に外国人のお客さまをお乗せしたときも英語でコミュニケーションができるので、目的地以外に「ここに寄ってほしい」というような要望を聞き出して対応していて、それはすごいと思います。

今後の目標は?

薫子さん)姉はもちろんそうですけど、義兄もいますし、会社を良くしたいと思う人たちが周りにたくさんいて、みんなで意見を出し合いながらいろいろ取り組める環境があるというのは恵まれていると思います。今後はライドシェアの取り組みに注目しています。ライドシェアは都市部よりも地方の方が活用できると思うので、そういうことにもチャレンジしていきたいですね。

史織さん)妹と一緒に会社を継ごうと決めたとき、2人で10年20年先を見据えて、長いスパンで良い会社にしていこうと話し合いました。私たちの会社は県内で最初に「介護タクシー」に取り組むなど地域やお客さまに寄り添うサービスを大切にしてきたので、これからも「信頼」と「安心」をモットーに取り組んでいきたいと思います。

*最後までお読みいただきありがとうございました。

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